天文アンティークというと、何となく西洋の品に目が向きがちですが、天文学が生まれ育った土地は、いわゆる西洋の外側です。
昔々、天文学が発達したのは、四大文明発祥の地ですし、栄えあるギリシャ科学を受け継ぎ、発展させたのは、東方のヘレニズム文化と、その後のサラセン文化でした。
まあ、わが家にそんな歴史遺産があるわけはありませんが、それでもそうした事実をイメージさせる品を並べて、天文アンティークの枠を少し広げたい気がしました。
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(説明プレートはantique Salonさんに作っていただきました)
たとえば、以前も載せた紀元前の天文石板(正確には粘土板)と、はるか後代のアストロラーベ。
残念ながらいずれも複製品ですが、本来の絶対時間でいうと、ここには2千年近くの時間差があります。
しかし――あるいはだからこそ――両者を並べて見る時、西アジアで星座が生まれた遠い昔のことや、精巧な儀器を生み出した工人の黒い指先、星の運行の秘密を解き明かした学者先生の長いあごひげ、そして彼の地の人々が星を見上げて過ごした幾十万もの夜の光景などが、いちどきに思い起こされて、何だか西域ロマンにむせかえるようです。
今、安易に「ロマン」という言葉を使いましたが、ナツメヤシの葉擦れ、乾いた透明な空に輝く満天の星、研ぎ上げた鎌のような新月…こうした状景は、暗い北ヨーロッパの人にとっては、実際ロマンに違いありません。
その心情を、欧州の人が心置きなく吐露できるようになったのは、ヨーロッパがイスラム世界を軍事的・文化的に圧倒した、近代以降のことですが、中世の十字軍などというのも、あれは一種の東方コンプレックスに基づく振舞いだったのでしょう。
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ここで、解説プレートの文字を転写しておきます。
石板の方は、「紀元前200年頃、古代オリエントのセレウコス朝期の天文暦の一部(複製)。有翼の蛇に乗る獅子と、その先に輝く木星が粘土板に刻まれています。獅子は今の「しし座」、蛇は「うみへび座」に当たると言われます。」
そして、アストロラーベの方は、
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