空の旅(4)…オリエントの石板とアストロラーベ
2017-04-16


「17世紀、アラビア海周縁のインド−ペルシャ世界で使われた両面アストロラーベ(複製)。表面と裏面が、それぞれ南北両天に対応しています。円盤の中心は天の北極・南極を、唐草模様の葉の尖端は主要な恒星の位置を示しています。アストロラーベは、天体の位置を簡単に知ることができる道具として、イスラム世界で特に発達し、中世後期以降はヨーロッパでも作られるようになりました。」

   ★

石板の方は既出なので、以下、アストロラーベの細部を見ておきます。

禺画像]

アストロラーベのレプリカは、今もインドで大量に作られていて、その大半は土産物的な粗悪な品です。時代付けして、「アンティーク」と称して売っているものもありますが、そうなると完全なフェイク(偽物)です。

上の品は同じレプリカでも、ごく上手(じょうて)の部類に属するもので、かなり真に迫っています。最初からレプリカとして販売されていたので、フェイクではありませんが、黙って見せられたら、一寸危ないかもしれません。(そもそもアストロラーベのフェイクは、昔からさまざまあって、グリニッジのコレクションにもフェイクが混じっていることを、グリニッジ自身が認めています。)

禺画像]

このアストロラーベは、上記のように、両面使えるところが特徴で、後の南北両天用の星座早見盤の元祖のような品です。

禺画像]

安易な鋳造ではなく、彫りの技によって正確に線を刻んでいる点に、作り手の本気具合を感じます。

禺画像]

禺画像]

   ★

どうでしょうか。ともあれ、ヨーロッパだけを見ていては、「空の旅」もロマンに欠けますし、旅の全行程のごく一部しかたどることはできません。

空を見上げながら、さらに遥かな旅を続けることにします。

(この項つづく)


戻る
[星図]
[天文機器]

コメント(全4件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット