(右下にちらりと見えているのは、英語原版を元にしたスウェーデン語版)
この本ははるか昔(2006年)に登場済みです【
LINK】。が、話の流れとして、新たに写真を撮り下ろして再登場させます。
この本の書誌や、レイノルズその人について、依然はっきりしない点もあるんですが、彼は「絵解きもの」を得意とした人らしく、1840年代後半から1860年代前半にかけて、各種の科学図解やロンドン市街地図など、ヴィジュアルな出版物を続けざまに出しています。まさに「視覚文化」の潮流に乗った人。本書は彼の代表作で、出版後すぐに各国語版が出ました。12枚セットがオリジナルですが、版によって図版数は異同があります。
一転して星空へと変化します。
この「透過式天球図」という趣向は、後で見るように、ドイツのフリードリッヒ・ブラウンも1850年に試みていますが、どちらかが模倣したのか、それとも相互独立に考案したのか、年代の先後が微妙なので、今のところ真相は不明です。ただ、レイノルズはなかなか創意に富んだ人で、星図のみならず惑星や月の姿も透過図版化しているのは、ブラウンに見られない工夫です。
これらの画題や構図は、当時流行した天文をテーマとした幻灯講演会の演目ともかぶります。本書は、「特別な装置の要らない幻燈会」として、家庭の夕べを楽しいひとときにしたことでしょう。
(この項つづく)
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