再来週の今日は、新年も三日目となり、そろそろお正月ムードにも飽きてくる頃ですから、2015年もきっとあっという間に終わってしまうのでしょう。早いものですね。
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そういえば思い出しましたが、「天文古玩」の前身は2つありました。
1つはおととい書いた「理科室倶楽部」です。
そして、もう1つが「Armchair Astronomer’s Room」というページで、コンテンツは少なかったですが、天文古書の話、昔の星座早見の話、天球儀の話…今の「天文古玩」につながる話題は、たいていそこに登場していました。ですから、後者の方が、より直接的な前身だと言えます。
記録がはっきり残っていませんが、公開していたのは共に2002年頃でした。
あれから本当にいろいろあったなあ…と、しみじみ思います。
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さて、『天球図の歴史』のつづき。
この本は、星図に関するビジュアル本であり、通史です。紙質も良く、オールカラーの美しい本で、当時も今も、日本語で読める星図史の本としては、最も充実した内容の1冊だと思います。古代オリエント世界から20世紀に至るまで、記述にも遺漏がありません。
この本に関して、個人的に象徴的だと思えるのは、それを本屋さんの店頭で買ったという事実です。20世紀の末、もうネット書店はありましたが、依然として本は本屋さんで買うのが普通でした。モノも情報も、それだけノンビリ動いていたわけです。
たとえば、タイトルページを飾る18世紀のバッカー星図↑。
米国議会図書館蔵のクレジット表示が麗々しくあって、こういう品は真に貴重なのだ…と思わしむるものがあります。まあ、貴重なものにはちがいありませんが、一方で、それが普通に売り買いされているということは、当時の私には知るよしもありませんでした。
そして、まさに「運命のページ」と言えるのが、これです。
エドウィン・ダンキンの『The Midnight Sky』から採った図と、フィリップス社のアンティーク星座早見。もちろん、まだ「天文古玩」という概念は持っていませんでしたが、そう名状されるべき世界がこの世にはあるのだと、直覚した瞬間でした。
この夢のように美しい星景画と、「彼の作品は星図と絵画の、また幻想の境界を越えた」という巧みなキャプションには、文字通り身も心も持って行かれました。
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