夜来風雨の声。台風お見舞い申し上げます。
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図鑑の話題も、だんだん疲労を覚えて来たので(何も考えずに書き始めると、たいていそうなります)、そろそろ終わりにしようと思います。紙数を費やしたわりには、結局何が言いたかったのか、ちっとも要領を得ないのですが、まあ、そこが「天文古玩」らしいところかもしれません。
それと村越三千男にこだわりすぎたせいで、話が植物図鑑に偏りました。本当は、『内外植物原色大図鑑』の姉妹篇である『内外動物原色大図鑑』(動物原色大図鑑刊行会、1936−1937)全13巻についても触れたかったし、昆虫図鑑や鉱物図鑑、キノコの図鑑のことなんかも当然話題にすべきだったのですが、それらはまた後日。(これまた埋没企画になってしまうかもしれませんが…)
最後に図鑑史を語る上で避けて通れない、「学習図鑑」について自分へのメモ代わりに書き添えておきます。
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今、国会図書館のデータベースで「学習図鑑」を検索すると、
塩田紀和(監修) , 橘健二(著)
『少国民学習図鑑 : 国語科・社会科・理数科』
東雲堂出版部、1947
というのがいちばん古い本として挙がっています。古いと云っても戦後のものです。
そのあと、東洋図書から、『昆虫学習図鑑』(神戸伊三郎著、1949)、『植物学習図鑑』(同)、『天文学習図鑑』(鏑木政岐・清水彊著、1950)、『音楽学習図鑑』(地主忠雄著、1951)など、一連の『○○学習図鑑』という本が出され、その最後は『化石学習図鑑』(井尻正二・藤田至則著、1957)で終わっています。
最後に名前の挙がった
『化石学習図鑑』については、以前、記事で詳しく触れました(
[URL])。これは図鑑とは云っても、中身は「図解入り学習読み物」といった体裁の本で、いわゆる図鑑とはちょっと違います。他の巻もおそらくはそうなのでしょう。
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戦後の子供たちに深い影響を及ぼした学習図鑑といえば、小学館とか、学研とかの一大シリーズを思い浮かべますが、あの手の「ホンモノの図鑑」はいつからあるんでしょうか?
…という書き方は理解されにくいと思うので補足すると、私は戦後の学習図鑑は、戦前からあった図鑑(仮に大人向け図鑑と呼んでおきます)とは出自が違って、理科の副読教材が発展したものという仮説を持っています。たとえば、国会図書館のデータベースからは漏れていますが、戦前にも学習図鑑と称する本(というか冊子)はあって、それがまさに理科の副読教材そのものでした。
下は関原吉雄(編)『最新 理科学習図鑑』(慶陵社、昭和4(1929))という折本形式のものですが、こういった教材が、戦後の学習図鑑の祖型ではないかという気がします。
(手元に現物があるはずですが、探しても見つからなかったので、購入時の紹介ページから売り主氏の写真を拝借。以下同)
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