瞳の中の天の川
2025-08-27


今日も七夕の絵葉書の話題です。

   ★

天の川を描かずに天の川を表現する。
…果たしてそんなことが可能でしょうか?

禺画像]

風古(いしわた・ふうこ、1891−1961)作、「天の川」。
現在の日展の前身、「帝展」の第11回(1929/昭和4)出品作です。

禺画像]

この絵葉書を見たとき、「ああ、やられたなあ」と思いました。

禺画像]

ご覧のとおり、七夕飾りをした商家の前に立つ2人の若い女性を描いた絵で、ここには天の川はもちろん、一片の空すら描かれていませんが、それでもこの二人の視線の先に、我々はたしかに銀の砂をまいた天の川の姿を「見る」ことができます。

絵画作品としての評価は、また自ずとあると思います。
しかし、この絵を「天の川」と題した作者の機知は大いに評価したいところです。

なお、ネット情報によると、作者の石渡風古は川合玉堂に師事し、大正〜昭和初期に文展・帝展で活躍した日本画家で、人物画を得意とした由。

[銀河(Milky Way)]
[絵葉書]
[和骨董・日本と東アジア世界]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット