男女の機微…というと、こんな絵葉書はどうでしょうか。
(ロンドンのCarlton Publishing社製、オフセット印刷。消印は下述のとおり1916年)
「At the End of the Honeymoon ハネムーンの終わりに」
悄然とする男と、さめざめと泣く女。
互いに背を向けて、いかにも穏やかでない雰囲気です。
それをにんまりと見ているお月様は、事の一部始終を空から見ていたからこそ、にんまりしているのでしょうが、何だか意地の悪そうな笑顔ですね。
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おそらく甘いハネムーンの期間に、性格の不一致が露呈したか、いわゆる「性の不一致」があったということなんでしょうけれど、後者にしても単なるEDの問題に限らず、当時の世相を考えると、同性に惹かれる男性が、世間体を気にして女性と結婚するのはありふれた光景でしたから(逆もあったと思います)、そこにいろいろ悲劇があったはずで、そうなると、なかなかにんまり笑うどころではありません。
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ところで「ハネムーン、蜜月」というのは、文字通り「結婚後の甘い時期」を指すわけですが、各種の語源解説ページを見ると、そこにはさらに「愛情は満ちれば欠ける月のようなものだ」という含意があるらしく、さもありなんと思います。まあ、満ちては欠け、欠けては満ちるの繰り返しの中で、徐々に安定した関係を築いていくのが理想なのでしょう。これは男女の関係に限らないことです。
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冒頭の絵葉書に戻って、こんな皮肉な画題の絵葉書を、いったい誰がどんな目的で差し出したのか気になりました。
裏面を見ると、1916年4月16日にロッテルダムから、市内に住む未婚女性(Mejuffer.)に当てて送られたようですが、文面もオランダ語のため、気になる内容は残念ながら判読不能。ひょっとして、花嫁が同性の友人に新婚旅行の首尾を伝えたもの?
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