(昨日のつづき)
パロマーといえば、かつては憧れと尊敬を一身に集める存在でした。
その偉業は当時アメリカのみが成し得たことであり、パロマーはアメリカの国力が今よりも更に強大だった、「パックス・アメリカーナ」時代のひとつの象徴と言えるかもしれません。
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古参の天文ファンだと、地人書館の下の写真集でパロマーに親しまれた方が多いと思います。
■大沢清輝(解説・編集)、ヘール天文台校閲
『パロマ天体写真集―巨人望遠鏡がとらえた宇宙の姿』
地人書館、1977(架蔵本は1981の初版第2刷)
「第T編:わが銀河系」、「第U編:100億光年のかなたに」という2部構成の、一部カラー写真を含む大判の写真集です。
(左:いて座の三裂星雲M20(NGC6514)、右:はくちょう座の網状星雲NGC6992)
(左:かみのけ座NGC4565、右:アンドロメダ座NGC891)
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さらに遡ると、先行して下の写真集も出ています。
■鈴木敬信(編)
『天体写真集―200吋で見る星の世界』。
誠文堂新光社、第5版1959 (初版1953)
編者の「はしがき」には、
「本書の主要部をなすものはウィルソン山およびパロマ山天文台の労作、世界にほこる100インチおよび200インチの巨鏡、48インチのシュミットカメラが、万物の寝静まる真夜中に最大の努力と手練とを傾ける観測者の熱意と相まって、うつしとった空の神秘である。おさめた写真のうち約150葉はこの写真集のために特に誠文堂新光社が同天文台から取りよせた最新のもの、約250葉は私が長年かかって収集したなかから選んだもの、残りは私自身が撮影した写真、それから東京天文台・花山天文台・水沢緯度観測所・科学博物館などから拝借した写真である。」
…とあって、写真の入手にも当時大変な苦労があったことが分かりますし、その苦労をおして写真集発刊を目指した鈴木氏と誠文堂新光社の熱意も伝わってきます。繰り返しになりますが、パロマーはそれだけ当時は「エラかった」のです。
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かつてパロマーが生み出した驚異の天体写真の数々。
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