天文趣味や理科趣味とはあまり…というか全然関係ない話題ですが、備忘のためここに書いておきます。
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今を去る30年前、私も人の親となり、大いに張り切っていました。
男の子だから端午の節句を祝うという段になって、普通に人形屋に並んでいる五月人形では面白くないとへそ曲がりなことを考えて、床の間に端午の節句にちなんだ古画を飾ることにしました。今にして思えば、若干スノビッシュな感じもしますが、当時は素敵なアイデアに思えたので、いそいそと京都まで出かけて、縄手通界隈の古美術店で一幅の具足絵を買い求めたのです(まだネット販売のなかった時代です)。
(一部拡大)
まあ、いかに京都で風流人を気取っても、先立つものがないので、これは無名の絵師の作品に過ぎません。しかし無名とはいっても、やっぱり名前はあるわけで、絵の隅っこには「雪真鷲源正直図之」という署名があります。
印章は「鷲正直」と「雪真」の2つ。つまりこの絵を描いたのは、本姓は源、氏は鷲、名は正直、号は雪真という人です(「鷲」は珍しい苗字ですが、確かにあるそうです。ただし、これが普通に「わし」と読むのか、あるいは「おおとり」のような読み方をするのかは不明)。
(外箱蓋裏の記載。蓋表には「雪真筆 菖蒲雛画」とあります)
箱書によれば、以前の持ち主はこれを明治13年(1880)5月に調えたとあるので、絵が描かれたのはそれよりもちょっと前でしょう。
当時、書画骨董人名事典の類をいくらひっくり返しても、その名がまったく見つからなかったので、これは余っ程無名の人か、あるいは素人画家の作かもしれんなあ…と思いました。で、今年久しぶりにその軸を出してきて眺めているうちに、「その後ネット情報も充実したし、今なら何か手掛かりが得られるかもしれんぞ」と思って検索したら、たった一点ですが、同じ人の作品が見つかりました。
「鷲正直(雪真)槌鼠図横物」の品名で、2022年8月にヤフオクに出品されたものです。
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