ブログの更新が止まっても、「天文古玩」的活動が止まることはないので、いろいろ見たり、聞いたり、考えたり、買ったりすることは続いています。ただし、書くことだけは止まっている…そういう状態です。
まあ、書くにしたって、内向きのつぶやきばかりでは、あまり社会的活動とは言えませんが、「天文古玩」も、ときに社会に向けて開かれた活動をすることがあります。
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たとえば、寺田寅彦に触れた8月の記事。
■明治科学の肖像
あそこで紹介した東大の古い卒業写真の複製パネルが、現在、高知市の
「寺田寅彦記念館」に飾られています。記事をご覧になった、「寺田寅彦記念館友の会」の山本会長からお問い合わせをいただき、画像ファイルを提供したものです。
(友の会会報 『槲(かしわ)』 第89号より)
山本氏によれば、この時期の寅彦の写真、しかも正面向きの像は珍しい由。そう伺うと、なんだか有難味が増しますが、私一人が有難がっていてもしょうがないので、これは寅彦ゆかりの場所で、多くの寅彦ファンの目に触れるのが正解です。(もちろん現物を寄贈すれば、なお良いのですが、そこは趣味の道ですから、今しばらくは手元で鍾愛することにします。)
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もう1つはアートに関する話題です。
今年は各地で展覧会の休止が相次ぎましたが、そんな中にあって、苦労の末に開催まで漕ぎつけたのが、横浜美術館で開催された
「横浜トリエンナーレ2020」です(会期:2020年7月17日〜10月11日)。
そこに私が多少かかわった…というのも謎ですが、さらにこの現代美術の祭典に、ヴィクトリア時代の天文家、ジェイムズ・ナスミス(1808−1890)が、アーティストとして参加していた…と聞くと、いっそう訳が分かりません。その分からないところが現代美術っぽいわけですが、事情を述べればこういうことです。
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ナスミスは、月に強い関心がありました。
そして望遠鏡で覗くだけでは飽き足らず、石膏で月面の立体模型をこしらえる作業に熱中しました。月の地形をいろんな角度から眺めたかったのでしょう。実際、彼は出来上がった模型をいろいろな角度から撮影して、「月面に立って眺めた月の光景」を仮想的に生み出し、それを本にまとめました。それが『THE MOON』(初版1874)で、これについては昨年記事にしました。
■ナスミスの『月』
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