10×12=60
2020-09-21


突然ですが、あれ?と思ったことがあります。
先日、コメント欄で「天文民俗」というワードが出て、それについていろいろ考えていたときのことです。

   ★

暦の「えと」ってありますよね。
例えば、今年の「えと」はネズミ(子)だし、来年はウシ(丑)です。順番に並べれば、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二個。いわゆる「十二支」というやつです。

でも、「えと」は漢字で「干支」と書くように、正式にはこれら「十二支」と「十干」の組み合わせから成ります。十干の方は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十個あって、両者を組み合わせた「甲子(コウシ/きのえね)」とか「乙丑(イッチュウ/きのとうし)」とかが正式な干支です。そういう意味でいうと、今年は「庚子(コウシ/かのえね)」の年で、来年は「辛丑(シンチュウ/かのとうし)」の年です。

禺画像]

正式な干支は、全部で60種類あって、60歳の誕生日を迎えると――より正確には、数えで61歳になると――生年と同じ干支に戻るので、「還暦」のお祝いをするのだ…というのは、ご承知のとおりです。

   ★

あれ?と思ったのは、十干と十二支を組み合わせたら、全部で120個の干支ができるはずだと一瞬思ったからです。実際には半分の60個しかないのは何故? 残りの60個はどこに消えたのか?

少し考えれば当たり前で、これは別に謎でも何でもありません。
十干と十二支を、順番に一つずつずらしながら組み合わせるとき、できるペアには或る制限があります。すなわち、十干より十二支の方が2個多いため、十干が一巡するたびに、ペアを組む相手の十二支は2個ずれる(=1つ飛ばしでペアを組む)ことになり、それが6巡すると元に戻って、その先はエンドレスだからです。

結果として、「甲、丙、戊、庚、壬」「子、寅、辰、午、申、戌」としかペアにならないし、「乙、丁、己、辛、癸」「丑、卯、巳、未、酉、亥」としかペアになりません。
全体の半分は永遠に結ばれぬペアだ――これが「消えた60個」の正体です。

   ★

…というのは長すぎる前置きで、以下本題につづきます。

(年寄りは話がくどい、というのは事実です。いやだなあ…と思いますが、しょうがないですね。何せ事実なんですから。私は事実を尊びます。)
[暦・編暦・改暦]

コメント(全2件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット