「うーむ、これは…」という記事を読みました。
いつもの天文学史のメーリングリストで教えてもらったものです。
以下はニュースサイト「SLATE」8月20日付の記事(筆者はHeather Schwedel)。
■「○○ちゃん、あなたの星座はなあに?(What’s Your Sign, Baby?)」
アメリカにおける世代区分のひとつに「ミレニアル世代」というのがあります。
一般的な用法としては、1981年〜96年生まれを指し、年齢でいうと、現在24歳から39歳。ちょうど小さな子供がいるお父さん・お母さんの世代です。
上の記事は、ミレニアル世代が、その先行世代に比べて、占星術に強い関心を持ち、我が子にも星占いの本を好んで買い与えていること、そして目敏い出版社は、今や続々と星占いの絵本を市場に投入している事実を、やや批判的視点から取り上げたものです。
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これに対するメーリングリスト参加者(多くは真面目な天文学史研究者)の反応が、興味深いものでした(以下、適当訳)。
まず、大学の人文学部で古典を講じるS教授の意見。
「これは各大学出版局や、人文専門書のラウトレッジ社にとって、古代のマニリウスやヒュギヌスを素材にした幼児絵本(もちろんラテン語の!)を携えて、児童書マーケットに参入する絶好の機会だろう。あるいは韻を踏んだ哀歌2行連句(elegiac couplets)でもいい。ヤングアダルト向きには、オウィディウスや、他の古典注釈者たちから取った、もっと本格的なテクストもいけそうだ。…」
もちろん、これは皮肉の交じった意見で、つまらない「お星さま占い」の本を垂れ流すぐらいなら、出版社はもうちょっと身になる本を出しなさいよ…と言いたいのでしょう。
これがNASAにも在籍した月研究者であるW博士になると、完全に悲憤慷慨調です。
「何たることか。未来の世代の愚民化が今や始まりつつある。出版社はジャンクサイエンス――とすら呼べないような代物――を、赤ん坊の真剣な目に触れさせてもお構いなしで、人類を間抜けにすることで得られる利益にしか関心がないのだろうか。我々は1000年におよぶ暗黒時代を経験したが、再び愚昧さに覆われゆく新たな1000年を迎えねばならないのか?ひょっとしたら、高度な生命体は、いずれの場所でも科学を拒絶する時期を迎え、そこから回復することがないのかもしれない。地球外生命探査計画(CETI)が失敗した理由もそれだろう。」
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