前回は知ったかぶりして、ちょっといい加減な記事を書いてしまいましたが、それはさておき、「中世チックな天文趣味」を親しく味わうことは、果たして可能なんでしょうか?
普通に考えると、それはもっぱら本やネットの世界の住人であり、実物を眺めようと思えば、海外の博物館に行くしかありません(日本にいる限り、充実したコレクションは拝みがたいでしょう)。
しかし、世の中には複製本、いわゆるファクシミリ版という便利なものがあって、ホンモノは無理でも、その似姿なら手元に置けないことはありません。
その一例は、以前も登場した『皇帝天文学』の複製です。
ただし、あれはルネサンス期も後期、活版印刷の時代になってからのものでした。
もっと中世チックなものというと、たとえばこんな一冊。
■Losbuch in Deutschen Reimpaaren.
Akademische Druck- u. Verlagsanstalt (ADEVA), 1972
14世紀の第4四半期に制作されたと推測される彩色写本です。原本はウィーン国立図書館所蔵。複製本の方は、オーストリアのグラーツにあるADEVA社から1972年に出ていますが、ちょっと驚くのは、半世紀近く経った今も、定価390ユーロで版元から購入可能なことです(
[URL])。特に稀書ではないので、古書店でも普通に売っています。
ページを開いても何が書かれているのかまったく分からないし、付属の解説書もドイツ語なので、これまたよくは分からないのですが、とりあえずタイトルは『ドイツ語韻文対句による占いの書』といった意味らしいです。要は、個人の星回りを見て、その身にこれから起きることを占おうという本です。
で、その星回りを見るための道具として、表紙の内側には、天体の運行を示すヴォルヴェル(回転盤)が取り付けられています。
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