ネットの穴を覗く
2018-02-18


インターネットには実に多くの情報が堆積しています。

でも、仮にその情報量が無限だとしても、「すべての」情報がそこに乗っかるわけではありません。ちょうど無限にあるはずの有理数だけでは、数直線は埋まらず、漏れ落ちる情報も、また無限であるようなものです。(これは先日コメントをいただいたzam20さんの「ミクロ・マクロ・時々風景」で拝読し、思わず膝を打った比喩。)

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先日、飛行機乗りのための星座早見盤の話題を書きました。
それを受けて、今度は船乗りのための星図を探しました。探してみると、実際そういう航海用星図はたくさんあって、船乗りは海図片手に水平線を眺めるばかりでなく、星空にも親しんでいることが、改めてよく分かりました。

船乗りが眺めた星空の件は、また別に記事にしたいと思いますが、その手の星図を買ったら、売り手の人がオマケとして、マップ・ディバイダを付けてくれました。

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マップ・ディバイダは、2本の脚を開閉して、地図上の任意の2点間の距離を拾い上げる器具です。コンパスタイプの品もありますが、これは上部の丸い部分を握ると脚が開くタイプ。これだと片手で操作できるので、すこぶる作業効率が良いです。

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本命の星図は1947年刊行だったので、このディバイダも同年代のものかなと思いますが、最後まで分からなかったのは、その素性です。

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ディバイダの最上部、両足の回転軸を留めるビスには、「W & HC」というメーカーの記載があります。また裏側には「BRITISH MADE」の刻印もありました。検索すると、この「W & HC」ブランドのディバイダは、新品・中古を含めて大量に売られており、時代も1930年代と称する品から、ごく最近の物にまで及びます。まあ、おまけに付けてくれるぐらいですから、品物の価値は最初から知れており、そう古いものでないことは確かですが、それでも、この「W & HC」とは何のイニシャルなのか、それだけでも知りたいと思いました。

で、早速調べたのですが、これだけ流通している「W & HC」の正体が杳として知れないのです。「まさか、そんなはずはない」と思って、いろいろ検索したのですが、まったく分かりませんでした(唯一このイニシャルで見つかったのは、Wallsend & Hebburn Coal Company という、50年前に廃業したスコットランドの石炭商だけした)。

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ディバイダの正体はさておき、ことほど左様に、ネット情報には意外な穴がポコポコ開いています。裏返せば、ユニークな情報は意外と身近なところにゴロゴロしていて、今日も誰かに発見されるのをひそかに待っているのでしょう。


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