政界の風は読み難し
2017-09-27


今回は閑語の拡大版。
清雅な気象趣味の話題は一服して、卑俗な政治の風向きの話です。
巷にはよく「政界地獄耳」みたいな記事がありますが、私もマネをして、無責任なことを書いてみます。

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今の混沌とした情勢を、どう捉えればいいのか?

心ある人の中には、安倍さんと小池さんの「二大極右政党制」の到来に恐々としている人もいるようです。でも、たぶんそうはならないでしょう。セクト主義とヘゲモニー(主導権)闘争は、何も左翼の専売特許ではなくて、今起こっていることは、まさ右派内部でのヘゲモニー闘争に他ならないからです。そして、本来狭いニッチに立脚している両雄(?)は並び立たないものです。

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以前、安倍さんの力の源泉は、日本会議、財界、アメリカだと書きました。
それで穏便に事が運んでいるうちは(安倍さん的には)何の問題もありませんが、今やそこに不協和音が生じています。その主な軋みは、安倍さんと日本会議の間の隙間風です。

日本会議とは、要は「生長の家原理主義者による極右カルト」ですから、根っから世俗的な安倍さんは、本来そんなものに義理立てしたくはないはずですが、その集票力には大いに魅力を感じて、これまで唯々諾々と従ってきました。

しかし、日本の財界にはそれを危ぶむ声がありました。
財界の最大公約数的意見は、現状を大きく変えることなく、アメリカとも、中国とも、そこそこ穏便にやってくれ…というものでしょう。それがいちばん儲かるからです。憲法だって、別にそんなに性急にいじってほしくないのです。安倍さんにしても、本音のところでは、己の権勢さえ保持できれば、「改憲」と心中する気はさらさらないでしょう。そこで、最近は公明党の顔を立てて、加憲案(9条はそのままに、自衛隊の存在を明記)に舵を切っています。

しかし、これが日本会議にはカチンときました。
籠池さんの切り捨てや、稲田さんを最後まで守らなかったことも、日本会議にすれば面白くない話です。日本会議にとって、国民の人気に陰りの出た安倍さんは、既に御輿としての魅力が薄れているという事情も大きいです。いずれにしても、意のままにならない傀儡に、傀儡としての価値はありません。

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そこに小池さんの登場です。
小池さんこそ、新たな御輿として相応しいという判断が、少なくとも日本会議の一部にはあるはずで、安倍さんはそこに相当な危機感を抱いているようです。

先日、野田聖子氏のスキャンダルが週刊誌を賑わせましたが、あれは野田さんと小池さんの接近が囁かれた、その機先を制して、官邸周辺が流したものに違いありません。その証拠に、野田さんが白旗を掲げたとたん、第2報、第3報が出ることなく、ピタッと報道が止まりました(スキャンダル自体は、自民党にとっても不利な諸刃の剣ですから、できるだけ早く収束させたかったのでしょう)。

今、いちばん機敏に動いているのは、おそらく公明党です。

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