今回の「空の旅」はレプリカも多くて、ちょっと展示に弱さがありました。
それを補う、何かアクセントになるものを入れたいと思って、19世紀初めに出た美しい「日食地図」をラインナップに加えました。
(販売時の商品写真を流用)
■Cassian Hallaschka(著)
『Elementa eclipsium, quas patitur tellus, luna eam inter et solem versante
ab anno 1816 usque ad annum 1860』
(地球と月、そしてそれらが巡る太陽との間で生じる1816年から1860年までの
日食概説)
「1816年にプラハで出版された日食地図。1818年から1860年にかけて予測される日食の、食分(欠け具合)と観測可能地点を図示したもの。日食の予報は、天文学の歴史の中でも、最も古く、最も重要なテーマのひとつでした。」
オリジナルは107ページから成る書籍ですが、手元にあるのは、その図版のみ(全22枚ののうちの11枚)を、後からこしらえたポートフォリオ(帙)に収めたものです。
その表に貼られているのは、オリジナルから取ったタイトルページで、図版はすべて美しい手彩色が施されています(各図版のサイズは、約25.5cm×19.5cm)。
(タイトルページに描かれた天文機器)
★
ここでネット情報を切り貼りして、補足しておきます。
著者のフランツ・イグナーツ・カシアン・ハラシュカ(Franz Ignatz Cassian Hallaschka、1780−1847)は、チェコ(モラヴィア)の物理学者。
ウィーンで学位を取り、母国のプラハ大学で、物理学教授を長く勤めました。今回登場した『日食概説』も、同大学在職中の仕事になります。
上記のように、日食の予報は洋の東西を問わず、天文学者に古くから求められてきたもので、その精度向上に、歴代の学者たちは大層苦心してきました。
そうした中、ハラシュカが生きた時代は、ドイツのヴィルヘルム・ベッセル(1784−1846)や、カール・ガウス(1777−1855)のような天才が光を放ち、天文計算に大きな画期が訪れた時代です。ハラシュカの代表作『日食概説』も、日食計算の新時代を告げるもので、そうした意味でも、「空の旅」に展示する意味は大いにあったのです。
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