世間を見回し、何となく末法世界が到来したような気分です。
詮ずる所、人間とは愚かな存在なのかもしれません。
でも、愚かなばかりでなしに、なかなか大したところもあるのが不思議なところで、つまりは、いろいろ矛盾を抱えた存在なのでしょう。
そんな人間の不思議さを思いつつ、「空の旅」を続けます。
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星を見上げる行為が、精密科学へと飛躍する過程には、数々の観測機器の発明がありました。その最初は、太陽による影の長さと位置を測るための、地面に立てた1本の棒で、おそらくそれに次いで古いのが四分儀。
四分儀にもいろいろなタイプがありますが、上は時刻を知るための「測時四分儀(Horary Quadrant)」の一種である、「ガンター式四分儀(Gunter’s Quadrant)」のレプリカ。元はイギリスの数学者・天文学者、Edmund Gunter(1581−1626)が考案したものです。
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そもそも四分儀とは何か。
分度器と糸とおもりがあれば、対象の高度を測ることは簡単です(さらにストローがあればなお便利)。
天体の場合は0度から90度まで測れれば十分なので、ハーフサイズの分度器、すなわち全円の四分の一の扇形を使えばいいことになり、これが「四分儀」の名の由来です。
手元の四分儀も、上の図のストローに相当する、2つの覗き穴が扇の一辺の両端に備わっています。さらに、扇の頂点には覗き穴のすぐ下に、もう1個の小穴が穿たれていて、ここに糸を通して、その先におもりをぶら下げたことが分かります。
太陽暦では、特定の日時の太陽の高度(地平線からの角度)は、一意的に決まります。裏を返せば、日にちと太陽の高度が分かれば、その瞬間の時刻が分かる理屈です。
ガンター式四分儀を使えば、さらに時刻以外にも、いろいろなことが分かるのですが、その前に、四分儀を使って時刻を知る方法について、もうちょっと見ておきます。
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下は一般的な測時日時計の図。
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