ところで、先週と先々週の「ブラタモリ」は神戸でした(明日は奄美大島)。
時間の制約から、やや食い足りないところも見受けられましたが、それでも神戸の街のあれこれを思い浮かべて、しばし画面に見入りました。
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このブログで神戸といえば、何と言っても稲垣足穂が過ごした町。
そして、長野まゆみさんの『天体議会』の舞台となったのも、きっと神戸だろう…ということを、以前長々と書きました。
神戸に関する本は、ずいぶんたくさん出ていることでしょう。
私はそれらを広く読んだわけではありませんが(というか殆ど読んでいませんが)、ただ、通り一遍の観光案内なんぞでなく、神戸の「深層」を語る本として、私が一読深い感銘を受けたのは、西秋生氏の『ハイカラ神戸幻視行』です。
西氏は生粋の神戸人であり、紙資料を博捜するばかりでなく、ご自分の足で神戸中を歩き回り、町の現況を確認し、多くのオリジナルな観察や発見をされています。
この本のことは、すでに4年前にも取り上げました。
■夢の神戸…カテゴリー縦覧:新本編
そのときは、初編にあたる『ハイカラ神戸幻視行―コスモポリタンと美少女の都へ』について言及したのですが、昨年、その続編である『ハイカラ神戸幻視行―紀行篇 夢の名残り』が刊行されました。
(左・初編(2009)、右・続編(2016)。いずれも神戸新聞総合出版センター)
この2冊は、ともに神戸を縦横に掘り下げた本ですが、その構成がいくぶん違います。
すなわち、初編は「人物」を軸としているのに対し、続編は「土地」を軸としています。この2冊を合わせて読めば、神戸の街に漂う「記憶」や「匂い」が、鮮やかに甦る仕掛けです。
試みに、それぞれの章題のみ、目次から抜粋してみます。
■『ハイカラ神戸幻視行―コスモポリタンと美少女の都へ』
序章 神戸、その都市魅力
第1章 宇宙論的挑発(イナガキ・タルホ)
第2章 美女と美食と藝術と(谷崎潤一郎)
第3章 詩人さん(竹中郁)
第4章 妖しい漆黒の光芒(探偵作家たち)
第5章 カンバスとレンズの向う(小松益喜と中山岩太)
第6章 港都の誘惑(やって来た人たち)
第7章 失楽の軌跡(去って行った人たち)
終章 <ハイカラ神戸>へのコンセプトワーク
■『ハイカラ神戸幻視行―紀行篇 夢の名残り』
序章 夢の街へ、街の夢を訪ねて
第1章 世界一美しい“異国” 元居留地
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