神戸の夢
2017-03-03


 第2章 異人館の街 山手雑居地(北野町・山本通)
 第3章 ボヘミアンの闊歩 トアロード
 第4章 繁華街の古層 三宮界隈
 第5章 鈴蘭燈の輝く下で 元町界隈
 第6章 船長文化の開花 中山手界隈
 第7章 夢のミクロコスモス 阪神間
 第8章 山の麓 六甲・王子公園
 第9章 静謐な歴史の街 兵庫
 第10章 明るい海と山と石と 須磨・明石
 終章 時の彼方から

この章題からも、神戸の魅力が尽くされていることが――西氏は「いや、決して尽くされていない」と仰るかもしれませんが――お分かりいただけるのではないでしょうか。

   ★

この美しい2冊の本の「衣装」を手がけたのが、画家の戸田勝久氏で、氏もまた生粋の神戸人と伺いました。その思いは、初編の北野町小路の夜景に、そして続編の昔日のトアロードの光景へと結実し、この2冊を並べることで、神戸の昼と夜が一望できる趣向となっています。

禺画像]
(カバー絵は表と裏で連続し、1枚の絵となっています。戸田勝久画 『神戸幻景 トアロード1928』)

そして見返しには、

禺画像]

 彗星と並んで疾走するボギー車。
 スパークする火花。
 「地上とは思い出ならずや 稲垣足穂」の文字。

   ★

嗚呼、地上とは思い出ならずや…

著者の西氏は、2015年、本書が上梓されるのを見ずに病没されました。
この『ハイカラ神戸幻視行―紀行篇 夢の名残り』は、西氏の遺著であり、思い出であり、夢の名残りであるのです。そこに深い寂寥を感じつつ、本書の内容についても見てみます。


(この項つづく)


戻る
[稲垣足穂]
[新本]

コメント(全2件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット