京都博物行(2)…パイプウニの骨格(前編)
2015-07-12


ウサギノネドコさんから持ち帰った黒い箱。

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その中身は真っ白なパイプウニの骨格標本でした。

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クッション用の包み紙も黒で、白と黒のコントラストが鮮やか。
本来はカラフルな体色のウニですが、きれいに漂白された骨格は、自然の造形の不思議さを存分に見せてくれます。

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右側は、以前別のところで見つけた、パイプウニの棘。
ウニの死亡後、その棘はすみやかに本体から外れて、バラバラになってしまうのですが、「棘」と言いながら、パイプウニのそれは全くトゲトゲしていなくて、尖端の丸い棍棒状をしています。

パイプウニの英名は slate pencil urchin (石筆うに)と言うそうですが、これは石筆を知っている者にとっては、実にうまいネーミングで、そのずんぐりした棘の感じがよく出ています(細身のチョークみたいなものです)。

和名の「パイプ」も、その特徴的な棘の形に由来するのでしょう。
でも、あまりパイプらしくは見えないなあ…と思って、荒俣宏さんの『世界大博物図鑑』(別巻2 水棲無脊椎動物)を開いたら、かつてはウニの棘の一端に巻きタバコを入れる穴を開けて売っていた…という、大正時代の動物学者の文章が引かれていました。パイプというよりも、シガレットの「吸い口」として用いられたようです。

(同書はさらに続けて、この動物学者(谷津直秀、1877−1947)の子供時代には、小笠原産のパイプウニの棘が、本当に石筆の代用品として売られていたというエピソードも紹介しています。英語の「石筆うに」も、あるいはそれが由来かもしれません。)

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(『世界大博物図鑑』のパイプウニは、キュヴィエ『動物界』(1836-49)からの転載)


(以下、後編につづく)
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