世の中に美しい星図集はあまたあれど、その筆頭は何といってもアンドレアス・セラリウスの『大宇宙の調和 Harmonia Macrocosmica』(1660)に指を屈します。これは大方の異論のないところでしょう。とにかく美麗の一語に尽きます。
それに次ぐのがドッペルマイヤーの『天界図譜』(1742)で、両者がいわば美星図界の横綱・大関。
(セラリウス『大宇宙の調和』。以下画像は全て拾い物)
とはいえ、星図の価値はビジュアル面の美しさだけで計れるものではなく、恒星の位置をいかにたくさん、いかに正確に表示するかというところに、本来の目的はあるので、そういう点で上記2著は一段評価が低くなります(一般の嗜好に投じるものではあっても、専門家の座右に置かれるものではない、という位置づけでしょう)。
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星図研究家の Nick Kanas氏によれば、古星図の世界には「Big Four」と呼ばれる存在があるそうです。いずれも学問的価値、歴史的なユニークさ、そして後世への影響において周囲から抜きんでた存在で、日本語でいえば差し詰め「星図四天王」。それは以下の4冊です。
〇ヨハン・バイエル(Johann Bayer、1572−1625)
『ウラノメトリア Uranometria』(1603)
〇ヤン(ヨハネス)・ヘヴェリウス(Jan [Johannes] Hevelius、1611−1687)
『ソビエスキの蒼穹―ウラノグラフィア Firmamentum Sobiescianum, sive Uranographia』(1687) (注1)
〇ジョン・フラムスティード(John Flamsteed、1646−1719)
『天球図譜 Atlas Coelestis』(1729) (注2)
※書名はドッペルマイヤーと同じ。ここではフラムスティードの方は『天球図譜』、ドッペルマイヤーの方は『天界図譜』と呼び分けることにします。
〇ヨハン・ボーデ(Johann Elert Bode、1747−1826)
『ウラノグラフィア Uranographia』(1801)
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画像をパクったりして、ちょっと節操がないついでに、これらの星図がいくらぐらいするのか、下世話な興味から古書検索サイトやオークションレコードに当たってみました。
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