羽のあるウラニア
2014-09-24



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売り手の言によれば、フランツ・クライン(Franz Cleyn、1582頃−1658)による、1645年の連作「Die sieben freien Kunste(自由七科)」のうちの1枚。

「自由七科」とは、中世ヨーロッパにおける基礎教養科目で、文法学・修辞学・論理学・算術・幾何・天文学・音楽の7科目を指します。この版画はそのうちの天文学を擬人化して表現した図(印面サイズは12.5×10.5cm)。

羽のある天使という、かなりキリスト教化された姿で描かれていますが、これもまたウラニアのバリエーションと見てよいのでしょう。ディバイダを手にして、天球儀と隣り合う姿はお約束です。

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右側の僧体の老人は、天文学の女神に教え導かれる天文学者でしょうか。

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足もとに見えるのは、日時計、アーミラリー、四分儀のようです。

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妙に愛らしい星座絵。
デフォルメがきついですが、それでも元の星座が何となく分かります。ちなみに、左下に見えるキリンのような、ラクダのような、妙な生き物は「くじら座」。

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ちょっとマンガチックな表情の鷲。
図像学的に鷲は多義的な存在ですが、ここでは単純に「天空」の象徴だろうと思います。

(この項さらにつづく)
[天球儀・地球儀]
[天文余話]
[版画・エフェメラ・切手など]

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