新天文対話…昭和30年代の天文教育のすがた(2)
2012-06-17


何はさておき、星空の美を見せようと、小学校でも可愛らしい「プラネタリウム」の上映会が行われました。

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ただし、『手引』によれば、これらはあくまでも「天体投影器」であり、プラネタリウムと混同してはいけないと注意しています。

プラネタリウムを簡素化したものが、天体投影器のように一般には考えられているが、原理的には同一であっても、機械的にはかなりのちがいがある。だから、天体投影器でプラネタリウムと同様の説明ができると考えてはいけない。」「この程度の機械では、プラネタリウムのような演出効果を望まない方がよい。」
 (『手引』pp.98-99.)

実際そうなんでしょうが、でも子どもたちの目には、これも立派なプラネタリウムに劣らず魅力的な装置に映ったと思います。上の写真でも、みなドームに目が釘付けです。

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ドームとプラネタリウム(投影器)がない場合は、「星座投影幻燈機」という簡便な装置も使われました。

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↑は「江上式星座撮影機」。スライドを入れ替えることで、季節の星空や星座の伝説を教室の壁やスクリーンに投影することができました。

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使用時の様子。暗い教室で息をひそめている子供たちの気配が感じられます。

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市販の機械ばかりに頼らず、先生たちの力作もあちこちで大活躍です。

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天井に取り付けて、季節ごとの星座を示すための「全天星座板」。
写真では仕組みがよく分かりませんが、要は大型の星座早見盤式のもので、電飾装置も組み込まれていたらしく、まさに先生の入魂作です。

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参考として、別の本(井上友治『新設改造 理科施設・設備図説』、昭和37)からも類例を挙げておきます↑。こちらは長崎の島原市立第三小学校の「点滅式全天星座板」。

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