今日は稲垣足穂(1900−1977)の命日。
京都ヴンダー散歩の連載は1回お休みして、故人を偲ぶ一日とします。
「天文古玩」では、この日、彼にちなむ品を仏前に供えるのが例ですが、今年はまた至極好適な品を見つけました。
↓は1870年代の古いシガーラベル、すなわち箱詰め葉巻に貼られた商標ラベルです。
アメリカ製のリトグラフで、サイズは約15×23cm。
タルホ氏も今年で111歳の川寿(せんじゅ)を迎えられます。
そろそろシガレットばかりでなく、三日月相手にシガーでも嗜んでいただいてはいかがかと、僭越ながら思いました。
(自らに焼香。あるいはシガーで乾杯。)
それにしても何とニクイ絵柄ではありませんか。
【おまけ/10月26日記】
上の絵から連想する足穂作品は、「月とシガレット」(『一千一秒物語』 所収)
ある晩 ムーヴィから帰りに石を投げた
その石が 煙突の上で唄をうたっていたお月様に当たった お月様の端がかけてしまった お月様は赤くなって怒った
「さあ元にかえせ!」
「どうもすみません」
「すまないよ」
「後生ですから」
「いや元にかえせ」
お月様は許しそうになかった けれどもとうとう巻タバコ一本でかんにんして貰った
上の絵ではご両人とも、妙に和気あいあいとしています。
まあ、折れた巻タバコよりは、「葉巻をどうぞ…」とやった方が、相手も悪い気はしないでしょう(たぶん)。
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