冷えてほしい所だけが冷えない。
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戦後の混乱がつづく昭和23(1948)年、小山書店の童話シリーズ「梟文庫(ふくろぶんこ)」の1冊として出た、宮沢賢治の『四つの物語』。ごく粗末な紙に刷られた本ですが、それだけに、なおさら子どもたちを慈しむ心がにじみ出ているようです。
この本の中には、名作「グスコーブドリの伝記」が入っています。
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飢饉によって孤児となったグスコーブドリ。
ブドリは苦労の末にイーハトーヴにたどり着き、そこでクーボー大博士の教えを受け、火山局でペンネン技師の助手として働くことになります。
イーハトーヴには、活火山が70あまり、休火山が50あまり、そして死火山が160あまり、合わせて300いくつもの火山があります。火山局ではそれらの精密観測を続け、大爆発が迫った火山に決死隊を送り込んで、爆発を未然に防いだり、クーボー大博士の計画によって建造された潮汐発電所群と一体となって、窒素肥料の空中散布で成果を上げたり、人々の生活をゆたかにするための活動を続けます。
(↑ 『四つの物語』、口絵より)
しかしある年、深刻な冷害がイーハトーヴを襲います。このままでは、再び大飢饉が起きて、自分のような孤児が増えてしまう…。ブドリは熟考の末、ある考えを思い付きます。火山を故意に爆発させたら、空気中の炭酸ガスの量が増えて、温暖化が生じるのではないか?ブドリは、さっそくクーボー大博士に相談をもちかけました。
(以下、青空文庫より転載。全文はこちら[URL])
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