10月16日の記事(
[URL])のコメント欄で、kazさんに「科学博物館日本館建物見学ツアー」のことを教えていただきました。
これは上野本館で開かれている公開講座、「ディスカバリートーク」の一環です。
当日の講師は、科博の建物を熟知されている、国立科学博物館・産業技術史資料情報センターの清水慶一氏。清水氏は、先に紹介した、『国立科学博物館本館改修工事報告書』を執筆された方でもあります。清水氏にお尋ねすれば、これまでモヤモヤしていたものが晴れるのでは?と思い、ちょっと動機はヨコシマですが、見学ツアーに参加させていただきました。
清水氏の説明を伺いながら、他の参加者の方とともに館内を回った後(初めて見る講堂の造作にビックリ)、質疑応答の時間になったので、疑問の点をずばりお聞きしてみました。
「科博の建物は飛行機の形をしていると言われます。これは設計当初から飛行機を意識していたのでしょうか、それとも結果的に、偶然飛行機の形に似たのでしょうか?」
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「結論から言えば、偶然似たのだと思います。」
清水氏の答は明快でした。
「科博の構造は当時の他の博物館と共通する様式で建てられています。設計に当っていちばん参考にしたのは、シカゴとミュンヘンの博物館で、これらは科博よりもずっと大規模ですが、やはり翼を張り出した陳列室を持っています。その背後に施設を設けたら、飛行機の形に似たということでしょう。」
「ただし…」と清水氏は続けられました。
「今のは、硬く答えればそうなる…ということですよ。ええ、これはもう“飛行機の形”でいいんですよ。私も他の人に説明する時には『飛行機の形をしている』と話すようにしています。設計者だって、最後の方は設計図を見て、『うん、これは飛行機だな』と思ったかもしれませんしね。」
うーむ、何と素敵なコメントでしょう。
科博の形は飛行機にして飛行機にあらず。
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その科博には、現在以下のような説明板が掲げられています(下から3行めに注目)。
科博自身が「飛行機伝説」に折り紙を付けているわけですが、その当否は、おそらく見る角度によって変わる、のでしょうね。
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