禺画像]
(前の記事のつづき)
泡箱写真の拡大。素粒子が描いたアート。
ところで、この絹糸のように細い泡の筋。細いとは言っても目に見えるのですから、元の粒子と比べれば、信じがたいほどの大きさを持っているはずで、おそらくは1千億倍以上のオーダーにはなるでしょう。
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かつて銀の羽を持った1羽のカモメがおりました。
そのカモメは、あまりにも高く、あまりにも速く飛ぶために、その姿を実際に見た者は誰もいませんでした。
しかし、カモメが翔んだその跡には、不思議なことに大きな泡が―何と地球よりも大きな、いやそれどころか、地球の公転軌道ほども大きな泡が―無数に連なったために、遠い異世界の住人にも、はっきりとその存在が感じ取れたそうです。
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おとぎ話めいて書けば、そんな感じでしょうか。
小さな泡とはいえ、液体水素が泡だつときにも、きっとかすかな音がするのでしょうね。
シュッ…シュワッ…シュワーッ…と。
ビールの栓を抜くと泡が立つのも、泡箱に泡の軌跡が生じるのも、煎じつめれば原理は同じだそうです。ビールを眺めながら、ぼんやり極微の世界に思いをはせるのも、この時期ならではの風流かもしれませんね。
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