ファーブルの昆虫写真集
2008-12-16


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ぼちぼち記事を再開します。

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昨日の朝日の夕刊を見てて、真ん中あたりの紙面に、鹿島茂さんの仕事場紹介の記事がありました。もっとも、写真に写っているのは、鹿島氏の蔵書の要であるフランス古書ではなくて、主に新刊本を収蔵した部屋。

記事を読むと、新刊書の買い入れは月に10万円、それとは別に年に3〜4回フランスへ専門書(古書のこと?)の仕入れに行くとありますから、あいかわらず常軌を逸した購書ぶりですね。

さて、記事とは関係なしに、その写真を見ていてパッと目に入ったのが、矢印の本。スキャン画像では見にくいのですが、背文字は 『ファーブルの写真集―昆虫』 と読めます。おお、最近そんな本が出たのかと思って、さっそくアマゾンを見に行きました([URL])。

アマゾンのページには、「ファーブル親子が創り上げた幻の写真集が今よみがえる」 と書かれています。今年の9月に出たばかりの本です。アマゾン以外の紹介記事によると、日仏友好150周年記念出版でもあるそうです。

詳細は明日現物が届けば分かると思いますが、ファーブルは晩年、『昆虫記』の執筆と並行して、息子のポールに命じて昆虫の生態写真の撮影に取り組んだことがあり、これはたぶん、それを1冊にまとめたものでしょう。(ポールは後にこれがきっかけで、プロの写真家になったそうです。)このとき撮影した写真は、ファーブルの没後に出た『昆虫記』の定本(「絵入り決定版」と呼ばれます)に挿入され、邦訳の『昆虫記』にも採録されたので、なじみの人が多いはず。それをまた大判の綺麗な図版で見られるとは、実に嬉しい好企画です。

もっとも「生態写真」とは言っても、当時の写真技術では、動いている対象をうまく捉えることはできないので、実際には死んだ昆虫に、ファーブルが「迫真の演技」をつけて撮影したのでした。つまり一種の演出写真です。(このことは、奥本大三郎・今森光彦『ファーブル昆虫記の旅』(新潮社)の末尾で、ファーブル研究家のイヴ・ドゥランジュ氏が今森氏との対談の中で述べています。)

それにしても、この本をまとめられた松原氏と山内氏の経歴がまた素敵です。
お二人とも既に喜寿を超えておられますが、根っからの虫好き、ファーブル好きというのは、本当に活動の息が長いですね。
[新本]
[昆虫]

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