年度替わりを口実にブログの更新をさぼっていましたが、更新が滞っていたのはそればかりではなく、和骨董に関心が向いていたというのも大きな理由です。というのも、ふとした出来心から七夕関連の品を探しはじめ、そこから「乞巧奠」の話題へ、さらに冷泉家の年中行事へと関心が横滑りして、しばし天文のことが頭から消えていたのでした。
とはいえ故郷忘じがたく、一通り外の世界を眺めれば、心はやはりなじみの世界に戻ってきます。
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以前、彗星と土星のソルト&ペッパーシェイカーというのを登場させました
【LINK】。
今回手にしたのは、その隣にちらっと写っている、同じくソルト&ペッパーシェイカーです。
こうすれば一目瞭然ですね。
これは、パロマー天文台の200インチ望遠鏡を収めた大ドームをかたどった塩・コショウ入れです。
この品、小さいなりによく出来ていて、脇っちょには階段のついた出入り口もあるし、
かすかに覗く大望遠鏡の気配も、なかなか真に迫っています。
しかし、この品が興味深いのは、そうした造作ばかりではありません。
底面や側面に鋳込まれた「JAPAN」の文字が見えるでしょうか。
これはおそらく1950〜60年代に日本の町工場からアメリカに輸出され、2025年に帰国したばかりの「里帰り品」なのです。
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1948年に完成し、その後も長く世界最大を誇ったパロマーの大望遠鏡。
それはアメリカが圧倒的な影響力を世界に及ぼしていた時代の象徴に他なりません。そして当時の日本は、こうしたこまごましたものを輸出して、必死に外貨を稼ぐ国であった…というのが、問わず語りに伝わってくるのが、この品のひとつの見どころじゃないでしょうか。
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