ガリレオの木星盤
2024-01-06


明日の日曜日から月曜日にかけて、能登は雪ないし氷雨の予報です。
高齢の方も多い地域です。寒さがどうか御身体に障りませんように。

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ジョヴィラーベ(Jovilabe)という天文器具があります。
かなりマイナーな装置なので定訳もありませんが、語義から「木星盤」と訳すのが良いように思います。

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上はフィレンツェのガリレオ博物館(Museo Galileo)が所蔵するジョヴィラーベのレプリカです。ポータブルな器具とはいえ、約39×19cmと結構大きいので、手に持つとズシッときます。

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ジョヴィラーベとは、木星の四大衛星(ガリレオ衛星)の動きを知るためのアナログ計算機です。

ジョヴィラーベの動作原理を図示した、ガリレオの手稿が残されているので、これが彼の発明になることは確かです。ただし、彼がこのような真鍮製の完品を製作した記録はありません。ガリレオ博物館に残されているのは、メディチ家の一族であるレオポルド・デ・メディチ(1617−1675)の旧蔵品で、ガリレオの死後に作られたものだそうです。

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ジョヴィラーベは、大円盤と小円盤という主に2つのパーツから成ります。

上部の大きな円盤の中央にあるピボットは木星を表し、その周囲に描かれた4つの円は各衛星(内側からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)の軌道です

地球からは、ガリレオ衛星の各軌道をほぼ真横から見る形になるので、衛星は線分上を往復運動する4つの光点として観測され、ガリレオも最初はこれが木星の衛星とは気付きませんでした。それでも、光点の位置を連続して記録しているうちに、これが衛星であることを確信し、その公転周期を割り出すこともできました。

光点(衛星)と木星の距離を測定する際、ガリレオは木星の視半径を単位にそれを記録しました。大円盤に刻まれた平行線スケールがそれで、線の間隔は木星の視半径と等しくなっています。(ですから中央のピボットは単なる金具ではなく、木星のリアルな模式図にもなっています。要するに大円盤は木星近傍を上から見たチャート図です。)

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各軌道とスケールの交点に書かれた小さな数字は、衛星が軌道上のその位置に来たとき、木星から何ユニット(1ユニット=木星の視半径)離れて見えるかを示しています。


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