(前回の続き)
これら「天の両極」を囲むように、さらに、いくつかの関連スポットを見出すことができます。
一つは「星の町」です。
それが天の両極エリアの東北に位置する「星ヶ丘」。
これは古い地名ではありません。
戦後になって、新興住宅地のイメージ向上を狙ってネーミングされたものです。そこに込められた願いは、「星にもっとも近く、輝く星の美しい丘」。全国のあちこちに新興の「ナントカが丘」は多いですが、星を持ってきたのは上出来です。
その甲斐あってか、今ではちょっとオシャレな繁華街として、毎年、住みたい街ランキングの上位に入る街に成長しました(あくまでも名古屋ローカルのイメージです。全国区ではありません)。
(「やっぱり憧れの街」と購買欲をあおるデベロッパー。
古い由緒はないにしろ、戦後(1950年代)、星のロマンチシズムが人々に訴求力を持ち、引いてはその住選択行動までも左右したという事実、これも星の文化史の一頁でしょう。
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もう一つは、「月の町」です。
すなわち、天の両極エリアの西北に位置する、「観月町(かんげつちょう)」と「月見坂町」で、いずれも江戸時代、ここが月見の名所だったことに由来します。
現在は、地下鉄の覚王山駅(※)をはさんで、南が観月町、北が月見坂町になっています。
今ではすっかり都市化しましたが、江戸の昔、名古屋の風流人士は盛んにこの地に杖をひき、月への憧れを和歌や俳句に詠みました。星ヶ丘にならえば、ここは「月にもっとも近く、輝く月の美しい丘」だったわけです。
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