名古屋星めぐり(その3)
2020-11-25


(前回の続き)

これら「天の両極」を囲むように、さらに、いくつかの関連スポットを見出すことができます。

一つは「星の町」です。
それが天の両極エリアの東北に位置する「星ヶ丘」

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これは古い地名ではありません。
戦後になって、新興住宅地のイメージ向上を狙ってネーミングされたものです。そこに込められた願いは、「星にもっとも近く、輝く星の美しい丘」。全国のあちこちに新興の「ナントカが丘」は多いですが、星を持ってきたのは上出来です。

その甲斐あってか、今ではちょっとオシャレな繁華街として、毎年、住みたい街ランキングの上位に入る街に成長しました(あくまでも名古屋ローカルのイメージです。全国区ではありません)。

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(「やっぱり憧れの街」と購買欲をあおるデベロッパー。

古い由緒はないにしろ、戦後(1950年代)、星のロマンチシズムが人々に訴求力を持ち、引いてはその住選択行動までも左右したという事実、これも星の文化史の一頁でしょう。

   ★

もう一つは、「月の町」です。
すなわち、天の両極エリアの西北に位置する、「観月町(かんげつちょう)」「月見坂町」で、いずれも江戸時代、ここが月見の名所だったことに由来します。

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現在は、地下鉄の覚王山駅(※)をはさんで、南が観月町、北が月見坂町になっています。

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(覚王山駅周辺の景観。ウィキペディアより)

今ではすっかり都市化しましたが、江戸の昔、名古屋の風流人士は盛んにこの地に杖をひき、月への憧れを和歌や俳句に詠みました。星ヶ丘にならえば、ここは「月にもっとも近く、輝く月の美しい丘」だったわけです。

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[天文余話]

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