日本学術会議の会員人事をめぐる問題。
その騒ぎを聞いて、日本学術会議法というのを、今回初めて読みました。
法律の常として、さらに「施行令」というのがあり、また当然のごとく「会則」やら「細則」やら、いろいろな決め事があって、それは同会議のサイトに、一括して載っています。(以上の4つは一通り目を通しました。いずれもそう長い文書ではありません)。
肝心の会員の任命については、その第7条に「会員は、第17条の規定による推薦〔=学術会議の推薦〕に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」とあって、これだけ読むと、たしかに会員の任命権は首相にあると読めます。
しかし、ここでいう「任命権」には、「選任権」や「任免権」が含まれていないことには十分注意が必要です(首相は学術会議側から申し出がない限り、会員を辞めさせることはできないことになっています)。
そして、任命の根拠は、唯一「学術会議から推薦があったという事実」に限られ、たとえば「推薦のあった者の中から、○○を考慮して内閣総理大臣が任命する」…というような建付けにはなっていません。つまり、第7条は首相の裁量を強調したものではなく、「学術会議の推薦の無い者を、首相が勝手に会員に任命することはできない」という、むしろその裁量権に大きな制限を課した条文です。
学術会議が「優れた研究又は業績がある科学者」として推薦した人(第17条)を、首相が蹴るというのは、独立して職務を行うとされている(第3条)学術会議の独立性を脅かすものであり、「不当な人事介入」と呼ばざるを得ない行為です。
…というようなことは、すでに多くの人が述べているので、屋上屋を架す必要はありません。それでも事実を確認しておくことは大事ですから、念のため、根拠法を一瞥してみました。
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本件について、私の態度は100%明瞭で、菅内閣に対して、きっぱりと抗議の意を表明します。そこに何のためらいもありません。
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ただ、ここで私の心にかすかに引っ掛かっていることがあります。
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