このブログも、最近は内容のないメモ書きになっていますが、他人はともかく、自分にとってメモは役に立つので、今日も書きつけておきます。
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昨日の記事に登場した、ギユマンの『Le Ciel』は、1870年に出た第4版です。
『Le Ciel』自体は、天文古書の名著ですから、このブログがスタートした2006年に早々と登場しています【
LINK】。でも、手元にある
「この1冊」のことは、あまり気にしたことがありませんでした。
昨日、書棚から取り出して、この三方金の立派な本をしげしげと眺め、改めてその来歴に思いをはせました。
表紙に捺されたこの金文字。
これまでは見れども見えずで、昨日ようやくその意味を認識したのです。
この本は、1870年に出版されると同時に、ある人物によって買い上げられ、手土産として別の人に渡されました。ある人物とは、ジュネーブ天文台長のエミール・プランタムール(Emile Plantamour 1815−1882)で、受け取ったのは、オスピス・デュ・サンプロン(Hospice du Simplon)という、スイスアルプスの山間にある宿泊施設です。(「ホスピス」というぐらいですから、昔は文字通り療護施設だったのかもしれませんが、今はふつうの保養施設のようです。)
1870年、スイス連邦測地委員会の命を受けて、観測のため当地を訪れたプランタムール教授が、記念としてオスピス・デュ・サンプロンに贈った品…ということが、上の金文字から読み取れます。
タイトルページにも、同館のスタンプがペタリ。そこに書かれた「標高2000m」というのが、同館の売りだったみたいですね。
その後、本は「サンプロン愛徳図書館(Bibliotheque Caritas du Simplon、地元のカトリック系施設でしょう)」に所蔵替えとなり、さらに古書店に払い下げられて市場に出て、私が買ったときは、スイスのフリブールという小さな町の古書店にありました。
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この本が日本に来てから、早くも18年が経ちました(2002年の購入です)。
彼はその150歳の年齢のうち、1割以上を我が家で過ごしたことになるので、思えば結構な日本通です。
この後、彼は果たしてどんな旅をするのでしょう?
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