話題としては前回の続きですが、いきなり余談から入ります。
ウィキペディアには「ウィキペディア」という項目があって、その
「記事の信頼性」という節【
LINK】には、こう記されています。
「ウィキペディアは信用に足る百科事典とは言い難く、ウィキペディアからの引用を学術関連のレポートに載せることは、そのレポートの信憑性そのものに疑問を持たせることでもある。」
まあ、自分で言うのですから、多分そうなのでしょう。
ただ、より正確には「玉石混交」というのが正しいかもしれません。中にはなかなか為になることも書かれていて、今回は大いに助けられました。ウィキペディア、侮るべからず。
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さて、本題です。
天文アンティークの世界も広いですが、そうした多くの品々の中に、一種の定番といえるアイテムがいくつかあります。19世紀における天文学の大衆化の実例として、そしてモノ自体にあふれる魅力で、本やネットに登場する機会の多い『ウラニアの鏡』(1825)も、その一つです。
この美しい星図カードは、13年前にいち早く『天文古玩』にも登場しています。
■『ウラニアの鏡』
■『星の小箱』(以下のリンクページから4回連続で取り上げました)
以前の記事で書いたように、『ウラニアの鏡』は2度にわたって復刻版が出ていて、現在でも簡単に手に入ります(ひとつは1832年のアメリカ版初版を底本にした『Night Sky』(Barns & Nobel、2004)、もうひとつは底本不明ですが、『The Box of Stars』(Bulfinch Press(米)/Chatto & Windus(英)、1993)です)。
(『The Box of Stars』)
ですから、普通に考えれば復刻版を手元に置いて、それで十分満足すべきところですが、ここで私の内なる本物嗜好がうずくのです。と言って、「よし、あの『ウラニアの鏡』の本物を絶対手に入れるぞ!」と、勇んで探索したわけではありません。探索すれば本物が売られているのはすぐ分かるし、「ああいいなあ…」とは思いますが、お値段がどうしようもないので、そこで触手が動くことは、さすがにないのです。
でも、その不完全なセットが、お値打ち価格で売られているのを見たら…?
実際に売られていたのは、32枚セットのうちの24枚のみ(8枚欠損)で、箱も解説もないという「裸本」でした。
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