コロナ雑感
2020-02-26


新型コロナの件で、国が発表した「対策」について、いろいろ意見が交わされています。そもそもあれは対策の体を成していない、という声も強いですが、一連の議論の中で、ちょっと気になったことがあるので、メモします。

   ★

今、問題になっていることの一つに、国内でのPCR検査の実施件数が、他国より格段に少ないことがあります。そして、この点を擁護する意見として、以下の論を耳にします。

@不安に思う人がいっせいに医療機関に押し寄せたら、医療機関がパンクして、地域医療が崩壊してしまう。

A潜在的感染者が来院することで、院内感染のリスクがある。医療機関が新たな感染源になってしまうことは避けるべきである。

B仮に検査結果が陽性と出ても、新型肺炎自体は特異的治療法(特効薬)がないので、検査をする意味が薄い。

これを読むと、いずれももっともに思えます。

でも、よく考えると、これは新型コロナに限らず、どんな新手の感染症が発生した時でも通用する「無敵の論理」です。果たして、今後さらに感染力が強く、もっと致死性の高い病気が発生しても、特効薬がなければ、常にこの3つを言い立てれば済むのかどうか?

素朴に考えて変だなあ…と思います。そして、こういう「無敵の論理」は、たいていどこかに穴があることを、私の経験と常識は告げています。

   ★

まず@について。

たしかに、検査を希望する人がいっせいに医療機関に押し寄せたら、当然そうなるでしょう。だからこそ、押し寄せる前に、要医療の人と、そうでない人をスクリーニングする必要があるわけです。でも、本来そのスクリーニングのために検査はあるはずなのに、それをしないというのは、入口のところで大きなボタンの掛け違いが生じています。

現在、新型コロナに対して行われているスクリーニングは、もっぱら問診でしょう。
でも、これはスクリーニングとしての確度がきわめて低くて、あまりにも頼りないです。まして重症化した段階でも問診ではねられて、検査すら受けられないなんて論外です。

そもそも論で言うと、現在は検査機関イコール医療機関になっているから、医療機関に人が押し寄せる結果を招いているのであって、両者を分離しても支障はないし、むしろ分離した方が効率的なことは多々あると思います。そこで適切な(必要なら多段階の)スクリーニングを実施して、必要な人だけ医療機関につなぐ体制が望ましいことは言うまでもなく、そのことに反対する人は少ないでしょう。(ここでいう「検査機関」とは、衛研のような検体処理機関ではなくて、被検者から検体を採取する機関という意味です。)


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