星時計(2)
2020-01-04


アストロラーベや、四分儀、八分儀、あるいは古い日時計とか、昔の測器や航海用具にロマンを感じる人は多いようで、そういう人向けに、お手頃価格でリプロを作っているメーカーがあります。まさに需要があるところに供給あり。

いずれもスペイン・マドリードに本拠を置く、ヘミスフェリウム社(Hemisferium)アンティクース社(Antiquus)はその代表です。

両社の製品は、ラインナップも、価格帯も、とてもよく似ているので、どっちがどっちか分からなくなることがあります。それも道理で、両社はもともと同じ会社でした。

1980年代に創業したビジャルコル社(Villalcor, S.L.)が双方の母体。
その後、経営をめぐってお家騒動があったらしく、創業社長のホアキン・アレバロ氏(Joaquin Carrasco Arevalo)が、社を割って2005年に新たに立ち上げたのがヘミスフェリウム社で、残った方が新たに掲げた看板がアンティクース社…ということらしいです。まあ、青林堂と青林工藝社とか、似たようなことはどこにでもあります。

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(左:ヘミスフェリウム社、右:アンティクース社の製品)

ここで両社のノクターナルを順番にみてみます。
まずはヘミスフェリウム社から。

こちらは1568年、フィレンツェのジローラモ・デラ・ヴォルパイア(Girolamo della Volpaia)が製作したものがモデルになっていて、現物は同地の科学史博物館に収蔵されています。

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同館のカタログ([URL])では、p.45にある「目録番号2503」がそれ。何から何までそっくり同じとはいきませんが、何となく雰囲気は出ています。

使い方は、ヘイデン・プラネタリウムの星時計とほぼ同じです。

深夜12時の目盛りに相当するのが、「Media Nox(ラテン語で‘真夜中’の意)」と書かれたポインタで、これは時刻盤たる中円盤と一体化しています(以下、「ノックス・ポインタ」と呼ぶことにしましょう)。

まずノックス・ポインタを、最外周の日付目盛りに合わせます(ただし、改暦のゴタゴタと、ヴォルパイアの依拠した暦本に間違いがあったせいで、このノクターナルを使いこなすには、現代の暦日に38日を加えよ…と、付属の解説書に書かれています)。

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(1月4日に使うときは、38日を足して、2月11日にノックス・ポインタを合わせます。)


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