前回触れたアンティーク望遠鏡の本ですが、著者のウォルフ氏から、「配本が大幅に遅れるよ」と連絡がありました。例のメーリングリストの影響か、注文が重なって在庫払底の由。
紙であれ、電子であれ、レファレンスブックというのは、いつの世も有用なもので、関心領域のそれは、手元に置いて、いつでも参照できるようにしたいものです。ウォルフ氏の本が在庫切れとなったのも、そう思う人が世界には依然たくさんいる証拠でしょう。
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ときに、レファレンスブックで思い出しましたが、今から7年前に(…と自分で書いてビックリ。もうそんなになるんですね)、星図蒐集の参考書を取り上げました。
■改めてアンティーク星図の話(3)…収集の手引書
そこで取り上げたのが、Nick Kanas(著)『STAR MAPS: History, Artistry, and Cartography』(Springer)です。リンクした記事で書いたように、この本は初版が2007年、初版改訂版が2009年、そして第2版が2012年に出ています。
今年、その第3版がついに出ました。かなりニッチな本のわりに、よく売れているのは、この分野でしっかりした参考書を求める人が多いことを示しています。
(『STAR MAPS』第3版)
第3版刊行の意図と、それ以前の版との違いは、冒頭におかれた「第3版への序」でカナス氏自身がこう書いています(以下適当訳。改行は引用者)。
「〔…〕さて、今や第3版を出すべき時だ。
この第3版は、前の版に対して、多くの重要な変更や追加が行われている。まず多くの読者の要望に応え、今回はハードカバー版とし、耐久性が増した。さらにカラー図版を巻末の別項にまとめるかわりに、本文と一体化した。
また、「第11章 地上及び天空の絵地図」及び「第12章 美術絵画における天空のイメージ」という2つの新章を加え、さらに5点の図版を鮮明なものに差し替え、54点の図版を新たに加えた。そのうち20点は第11章、28点は第12章に配し、その他何点かの図版を、先行する各章に配した(すなわち図4.9、6.4、6.5、8.61、8.62、8.63)。そして、第2版出版後に公刊された情報を反映して、新たな参考文献を83点追加するとともに、本文中でもそれに対応するアップデートを行った。また新たな節として、大航海時代がもたらした新星座に関する「4.3.4 イスラム世界への影響」と、「8.7.6 口絵のコスト削減の手立て」が加わっている。最後に本文全体を見直し、誤植を訂正し、表現をより明確かつ詳細にした(特にイスラムとビザンツの章と、「8.1 天球儀とゴア」〔ゴアは天球儀用船形星図のこと〕)。
総じて、読者の便と理解向上を図るため、本書は多くの点が新しくなっている。
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