写真の左側に写っているのは、イギリスの天文趣味の父、トーマス・ウィリアム・ウェッブ(Thomas William Webb、1807−1885)の伝記。
ウェッブが、最初期の天体観測ガイド『普通の望遠鏡向けの天体(Celestial Objects for Common Telescopes)』(初版1859)で、人々を天文趣味に誘い込んだ頃、当時の人が覗き込んだのが、まさにこういったアイピースたちでした。
150年前、地上に降り注いだ星の光は、これらのレンズで屈折した後、さらに水晶体を通って視覚的な像を結び、古人の心に深い感興を起こした…と思うにつけ、何だか愛しいような、床しいような。
手前に写っている長細いアイピースは、こういう専用の革ケースにきっちり収まっています。
これまた何とも床しいですね。
こういう風情こそ、ヴィクトリア時代における天文趣味隆盛の余香なのでしょう。
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ときに余談ですが、こういう古い機材を手にして気になるのが、何だかネジが互いに合ったり合わなかったり、規格がバラバラなことです。
それによると、ネジ山の規格化が進んだのは19世紀も終わり近くになってからのことだそうです。興味深い内容なので、今後のメモ用に、イントロダクションだけ適当訳しておきます(途中改行は引用者)。
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