アポロといえば月着陸ですが、正確を期せば、アポロは1号(1966)から17号(1972)まであって、さらに1961年に始まる準備段階も全部ひっくるめて「アポロ計画」と称するんだそうです。もちろん、月に降り立ったのは、そのうちの一部にすぎません。
最初の月着陸を成し遂げたのはアポロ11号で、1969年のことです。
でも、
年表を見ると、この年に限っても、地球を周回した
9号(3月3日打ち上げ)、月を周回した
10号(5月18日)、そして月に着陸した
11号(7月16日)と
12号(11月14日)…と、計4回も打ち上げが行われています(使用したのはすべてサターンX型ロケット)。
子供だったので仕方ありませんが、そんなことも私の記憶からは飛んでいて、アポロといえば11号の印象だけが鮮明に残っています(その後、繰り返しテレビで映像を見せられたのも大きいでしょう)。
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11号の露払いを務めた9号の雄姿。
AP社が配信した、当時の報道用電送写真です。
(拡大すると、電送写真特有の細かい横縞が見えます)
幾筋ものサーチライトに照らされた夜の発射台に、強い緊張感がみなぎって感じられます。国産のH−UAロケットもずいぶん大きいですが(53m)、サターンV型はさらにその倍以上の高さがあったので(110m)、間近で見たらものすごい迫力だったでしょうね。
裏面の「FEB 30」(2月30日)の文字が一寸解せないですが、まあ普通に3月2日の意味なのでしょう。すなわち打ち上げ前夜の光景です。
スタンプの印字や、貼付された紙面の向こうに堆積した50年の歳月。
思えば、「天文古玩」がスタートした13年前には、まだ40周年も迎えていなかったので、この写真もそれほど懐古モードでは見ていませんでしたが、さすがに50年ともなると、立派に古玩の仲間入りですね。今や平成も懐古の対象だし、ノスタルジーは埃のように日々降り積もるもの哉。
ときに、上で「露払い」と書きました。
確かに11号の陰に隠れて目立ちませんが、3人のクルーにとっては、文字通り命がけの大冒険ですし、アポロ計画全体の欠かせないピースという意味では、11号が横綱なら、9号だって横綱なんだと思います。
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…と書いたそばから何ですが、もう一人の大横綱たる11号も載せておかなければなりません。こちらはUPIの配信です。
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