計算する骨
2018-06-10


スコットランドは、今はイギリスの一部ですが、「ランド」というぐらいですから、昔は独立した国で、イングランドと合併したのは1707年のことです。

その昔のスコットランド王国の貴族で、レオナルド的万能の科学者にして、オカルティズムの大家でもあった人に、ジョン・ネイピア(John Napier,、1550−1617)という人物がいます。(当時はこういう怪人的学者が多くて、イングランドにはジョン・ディー(1527−1609)という大物がいましたし、東に目を向ければ、奇想の皇帝・ルドルフ2世(1552−1612)のプラハ宮廷にも、何だかよく分からない人物が大勢出入りしていました。)

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(ネイピアが住んだマーキストン城。右上はネイピアの部屋。19世紀の版画より。リンク先[LINK]掲載の図を一部トリミング)

さて、そのネイピア。この才人の業績の中でも顕著なのは、数学分野におけるそれで、特に「対数」の発案者として、その名は不朽のものとなっています(とエラそうに書いていますが、この辺のことは他人の受け売りです)。あるいは、「対数」と聞くと身構える人(私もその一人)でも、彼が小数点の考案者だと聞けば、なるほど偉い人だと思うでしょう。

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そして、彼の発明でもう1つ有名なのが、「ネイピアの骨(Napier's bones)」と呼ばれるものです。

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(アメリカのArmstrong Metal Craft社製の現代の「ネイピアの骨」と解説書。表紙を飾るのはジョン・ネイピアの肖像)

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洒落たオークの箱に、銀白色のステンレスに刻まれた数字が並んでいます。

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中身は一枚板ではなくて、バラバラの四角い棒。

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そして、箱の左側に彫られた1から9までの数字。

一体これは何か?

これはネイピアが発明した計算装置です。これさえあれば、桁数の多い掛け算を効率的に行うことができ、さらにそれを応用して、割り算や平方数、平方根まで計算できるという優れもの。(ちなみに、なぜ「骨」かといえば、昔は象牙を削った棒を使い、いかにも骨っぽい外観だったからです。)

なぜそんなことができるのか?


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[数学・図形]

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