星図をあるく
2017-01-28


時と所を替えて現代日本。
心優しい本といえば、先日、月兎社の加藤郁美さんが、こんな優しい本に言及されていました。

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(左右は付属のカードと星巡りの「地図」)

花松あゆみ(作)
 星図をあるく Ambulo stella chart
 2013年、24p.

作者の花松さんは、ゴム板に版を彫る「ゴム版画」の作品を主に制作されている方で、本書も星座をモチーフにしたゴム版作品集です。

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本書の中で綴られるのは、二人の男の子が、星座から星座へと歩み続ける物語。
そう聞くと、『銀河鉄道の夜』を連想される方もいると思いますが、たしかにそこには共通するものが感じられます。それはプロットだけでなく、情調においてもそうです。

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その共通するものとは、「さみしさ」。
優しと淋しさは両立するものでしょう。…というより、両者は本来二つで一つのものではないでしょうか。(「かなしい」という言葉に漢字を当てると、「愛」とも「悲」とも「哀」ともなることを連想します。)

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広漠とした星の世界もさみしいし、自らの生を生きることもまたさみしい。
でも、その底にある優しさこそ、賢治は(あるいは花松さんも)伝えたかったのではないかなあ…と、これは私の勝手な想像ですが、そんなことを思いました。

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星の旅の最後まで来ると、主人公の男の子たちは、双子座の二人であり、彼らに影のように付き従ってきたのは、こいぬ座だったことが分かります。

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(星巡りの「地図」)

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(ページの表裏が透かし絵になっていて、光にかざすと、銀河を宿した鉱石の中に、子犬の姿が浮かび上がります。冒頭、この子犬が目を覚ます所から物語は始まるので、本当の主人公は彼なのかもしれません。)

   ★

花松あゆみさんの公式サイトは以下。

AYUMI HANAMATSU WEB SITE
 [URL]

そして、花松さんの作品販売を手掛けるお店は以下。

えほんやるすばんばんするかいしゃ
 

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