デ・ラ・ルーとその時代(2)
2016-10-22


トランプが気になる…というのは、以前も書いたとおりで([URL])、私は昔からトランプに対して、いくぶん強迫的な嗜好があります。

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(北原白秋の『思ひ出』も、トランプ憧憬に一寸影響しています)

そのせいで、天文モチーフのトランプやカードゲームを手にすることも多いのですが、それは気合を入れて別項目で紹介することにして、ここではデ・ラ・ルー社のトランプの話題です。

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このトランプを買ったのは、10年近く前のことです。
古いトランプが欲しいと思って、最初に見つけたのがこのトランプでした。

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このバラのデザインは、少々乙女チック過ぎる気もしますが、英国人にとってのバラは、日本人にとっての桜にも等しい、深い精神性を帯びた存在らしいので、これはいかにもイギリス的なデザインです。

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(スペードのエースには、薔薇戦争で名高い「チューダー・ローズ」の意匠)

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(各スート(マーク)の形が丸っこいのが昔風)

絵札のデザインや、角がスクエアな形状から、1860年代のものと推定されるデ・ラ・ルー社のトランプ。売り手はさらに「1865年」という特定の年次を挙げていて、その根拠は聞き洩らしましたが、1865年といえば、ちょうど『不思議の国のアリス』が刊行された年です。このトランプは、あの世界に登場してもおかしくない存在だ…というのも、買う気をそそられた点でした。

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(ハートの女王と4人の王様)

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1830年代に始まるデ・ラ・ルー社のトランプの歴史については、以下のページにやや詳しい解説があります。

THOMAS DE LA RUE: a brief history of De la Rue’s playing-cards
 [URL]

それまでの素朴な木版・ステンシル彩色のトランプ製造の世界に、機械印刷方式を持ち込み、スッキリと洗練されたカードデザインを考案したのがデ・ラ・ルー社で、前代の妙にいびつなトランプも、それはそれで魅力的ですが、トランプにいかにも謎めいた人工性が宿ったのは、何といっても同社の手柄です。


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