まずespritlibreさんにならって、本書の書誌を記しておきます。
『鳥類写生図譜』の第1期・第1輯(昨日は「集」と表記しましたが、正確には「輯」です)が出たのは、昭和2年(1927)7月のことです。そして、翌年の昭和3年(1928)9月に第12輯が出て、第1期は完結しています。各輯には、それぞれ2種類(12輯のみは3種)の鳥が含まれ、第1期の収録数は全部で25種類になります。
(第1期収録の25種)
そして、それぞれの種類は、花鳥画の描法に則って描かれた「本図」と、鳥の細部を詳細に描いた「附図」の2枚から成り、第1期は都合25×2=50枚の図版を含んでいます(さらに解説のリーフが、各種に1枚付属します)。
(第1期第11輯よりジョウビタキの本図。花はマンサク)
(同拡大)
(ジョウビタキの附図)
(同拡大)
第1期が完結後、版元の鳥類写生図譜刊行会は、『鳥類写生図譜 第一集』と称して、全図版を帙入りのセットとして、あるいは大和綴じに製本した豪華版として、セット販売を行いました。これは各期についても同様です。
同様に、第2期は昭和4年〜5年(1929〜1930)、第3期は昭和5年〜7年(1930〜1932)、そして第4期は昭和8年〜13年(1933〜1938)と、配本間隔が次第に間延びしたものの、足掛け12年かけて『鳥類写生図譜』全100種200枚は、無事完結しました。
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…と、これだけでもかなり複雑な出版事情ですが、さらにややこしいのは、私の手元にある「大鳥篇」「小鳥篇」の成り立ちです。
(大鳥篇の扉。角印は「賜天覧台覧」。推薦・賛助者には、日本画家の川合玉堂や、「殿様鳥類学者」である鷹司信輔、黒田長礼らが名を連ねています)
この「大鳥篇」「小鳥篇」は、図版自体はオリジナル版(第1期〜第4期)と同一で、各種類が本図と附図の2枚から成る点も共通ですが、オリジナル版が全100種であるのに対し、収録数は70種(大鳥・小鳥篇 各35種)と、若干切り詰められています。また、単に切り詰めただけではなく、オリジナル版にはない3種の鳥が加わっています。
結局のところ、大鳥・小鳥篇は、オリジナル版を再編集したコンサイス版で、それにちょっとオマケをつけたもの…というわけです。
(小鳥篇表紙)
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