神戸、『博物蒐集家の応接間』へ(2)
2015-12-15


トアロードウェストの「ロクガツビル」に入っているランスハップブックさんが、今回の会場です。

 動物、植物、鉱物の三界にまたがる美しい博物画や、天文画の数々。
 昔々の書物の古びた頁の表情。
 壁には東方教会の聖像を護っていた真鍮飾りが並び、
 棚には謎を呼ぶ「隠秘学」的画像が堆積し、
 卓上には奇妙な硝子や銅の化学機器が配され、
 それらの隙間から、「生ける死者たち」―剥製、標本がじっとこちらを見ている…

そんな場所で、薄緑の光をたたえたアブサンを振る舞われ、名だたる蒐集家である各店舗のオーナー諸氏の話に耳を傾けたら、はたしてどんな気分になるか?

私はこのときかなり気分が高揚していたので、会場では一切写真を撮らずに来てしまいましたが、どうかその場面をご想像いただきたいものです。

   ★

私は主催者ではないにしろ、主催者に近い側だったので、あんまり節操なく買いあさるのはよろしくないと自重し、今回は二品だけ購入しました。

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一つは鉱物マッチラベルのセットです。

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時代・メーカーともに不明ですが、オフセット印刷なので、時代はある程度下るものでしょう(1950〜70年代ぐらい?)。以前メルキュール骨董店さんが取り扱われていた際は(今回は別店舗からの出品でした)、スイス製と伺いました。

「たかがマッチラベル」とはいえ、これら一連の作品は、そのデザイン力において傑出したものを感じます。世にある鉱物画はわりと「色彩美」に注目しがちですが、ここではもっぱら「形象美」に注目し、それをモノクロの点描と線画、そして抑え気味に加えた単色で表現しており、何とも硬派な印象を受けます。いかにも鉱物らしい鉱物画です。

   ★

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そして、このマッチラベルと共に買ったのが「海の青」を封じ込めた小壜です。

(この項つづく)

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