プラハの天文時計…(3)
2015-10-13


何事にも歴史あり。
天文時計しかり、そしてまた天文時計のお土産品しかり。

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今、手元に3種類のメカニカル・ポストカードがあります。
真ん中のが、昨日ご紹介した1930年代のもの。
左側のはもっと古い、1900年ごろのもの。

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印刷は当時目新しかったハーフトーン(網点)で、そこに手彩色を施してあります。
中に仕込んだ回転盤で、使徒が順繰りに顔を出す仕掛けは、後の物とまったく変わりませんが、写真をそのまま生かして細工しているのが珍しい。この種のものとしては、たぶん最初期の品でしょう。

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(裏面)

住所欄と通信欄が区分されていないのは、古い絵葉書に見られる特徴。
表示は、チェコ語、ドイツ語、ハンガリー語、ポーランド語、フランス語、イタリア語、ロシア語と、人々が複雑に往来する中欧チェコの横顔が垣間見られます(なぜか英語はありません)。

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シルクハットに白手袋の紳士が、いかにも大時代。

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替わって右側のは、絵葉書というには丈が長すぎて封筒のようですが、用途はやっぱり絵葉書です。時代はぐっと下って、戦後も1970年ぐらいのもの…と書きかけて検索したら、ちょうどeBayに同じものが出品されており、チェコの売り手がその来歴を書いていたので、便乗します(関心のある方はItem No. 220843598484をご覧ください)。

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(ダイヤルに使徒の名を表示したのは良い思いつき)

それによれば、この絵葉書はプラハのオデオン出版が1968年に発行したもので、絵の作者は、プラハで活躍した建築家・画家のヴォイテフ・クバシュタ(Vojtech Kuba〓ta、1914 〓 1992)。彼は4歳の頃から絵の才能を発揮し、法律家の道を歩ませたかった父親の意志に反して画家となった…と、件の売り手は書いています。

   ★

「プラハの天文時計のお土産絵葉書」という、至極些細な品にも、そこにはたしかな歴史の歩みがあります。そして、その小さな歴史には、同時に大きな歴史が反映しています。


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