ところで、「驚異の部屋」はいつ始まったのか?
もちろん、検索すればそれは15世紀のイタリアで始まり云々…と書いてありますが、ここではもっと身近な話題として、「驚異の部屋」というコトバ(日本語)がいつからポピュラーになったかを書き留めておきます。
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国会図書館の蔵書検索に当ると、「驚異の部屋」を冠した書籍で、最も出版年が古いのは、以下の本だと教えてくれます。
■驚異の部屋 : ハプスブルク家の珍宝蒐集室
エリーザベト・シャイヒャー 著 ; 松井隆夫, 松下ゆう子 訳.
平凡社(1990.12)
(外箱(左)と本の中身)
1990年は平成2年、今からちょうど四半世紀前です。
いわば今年は、本邦における「驚異の部屋」25周年。
昭和時代には「驚異の部屋」をタイトルにした本が全く存在しなかった…というのも、ちょっと意外な気がしました。
そして、その次は9年とんで以下の本。
■文化の「発見」:驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで
吉田憲司 著.
岩波書店(1999.5)
ここで時代は21世紀に替わり、さらに以下のタイトルに続きます(再刊は除く)。
■マーク・ダイオンの『驚異の部屋』 = Mark Dion’s chamber of curiosities : ミクロコスモグラフィア : 東京大学総合研究博物館小石川分館開館1周年記念特別展
西野嘉章 監修.
東京大学総合研究博物館(2003.1)
■マーク・ダイオンの「驚異の部屋」講義録 : ミクロコスモグラフィア
西野嘉章 著.
平凡社(2004.4)
■版画でつくる驚異の部屋へようこそ!展 = Willkommen in der "gedruckten" Wunderkammer!
町田市立国際版画美術館(2011.10)
■驚異の部屋 = Chamber of Curiosities KUM Version:京都大学ヴァージョン
東京大学総合研究博物館, 京都大学総合博物館 編 、『驚異の部屋-京都大学ヴァージョン』展実行委員会 監修.
東京大学総合研究博物館(2013.11)
■ギレルモ・デル・トロ創作ノート:驚異の部屋
ギレルモ・デル・トロ 著 ; マーク・スコット・ジグリー 共著 ; 阿部清美 訳.
Du Books(c2014)
■歴史のなかのミュージアム = The museum in history:驚異の部屋から大学博物館まで
安高啓明 著.
昭和堂(2014.4)
ギレルモ・デル・トロ(=映画監督)の著作のように、歴史的な「驚異の部屋」とは直接関係ない本を加えても、わずかに8冊。さらに以下の「ヴンダーカンマー」本2冊を加えても計10冊ですから、いかにも少ないですね。これまた意外でした。
たしかにポピュラーになったとはいえ、やはりマイナーはマイナーです。
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