何だかんだ言って、やっぱり洒落てますね。
この「洒落」(fancy & wit)の要素は、足穂に終生ついて回ったもので、賢治にはない肌触りです。
「ユリイカ」 2006年9月臨時増刊号(総特集・稲垣足穂)を読んでいたら、あがた森魚さんが、賢治は「20世紀の山村の少年博物学」であり、足穂は「20世紀の都市の少年博物学」だと語っているのが目に留まりました。果たしてそこまで簡略化していいものかどうか迷いますが、一方の作品舞台が「森の中に立つ料理店」であり、他方は「都会の街角に立つバー」だと聞けば、たしかにそんな気もします。
★
話が脱線しました。
ともあれ、タルホの世界を覗き見るには、当時のオリジナルを見るにしくはなく、タルホ好きにはお勧めの一冊です。
(奥付より。当時は「稲垣足穂」ではなく「イナガキ・タルホ」が正式な名乗りだっようです。)
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