地球より重く 鴻毛より軽き 命かな
こういう折に記事を書くべきかどうか悩みますが、書きます。
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例によって時代は曖昧ですが、1920〜30年頃のセロハンスライドを買いました(昨日の記事では、セロハンスライドを1930年代と書きましたが、このセットは絵的にもう少し古い気がします)。
理科教育用に作られたもので、電気とか、気象とか、12枚1セットでいろいろなテーマを取り上げているのですが、今回はとりあえず天文をテーマにしたセットを載せます。
上の写真で、絵柄がしわしわになっているのが見えますが、これは絵が直接ガラス面に載っているのではなく、セロハンに刷ったものをガラスにはさんであるからです。セロハン自体は一色刷りで、おそらくそこに合羽刷り(ステンシル)で色を塗ったものと思います。
今回まとめてこれらのスライドを買ったのは、端的に言って安かったからで、送料の方がむしろ高くつきました。この手のスライドは、おそらくスライドのコレクターからは、あまり重視されていないのでしょう。
「Loi du carre 二乗の法則」。
光源からの距離と明るさの関係を示す図です。
家族に背を向ける右端の暗い少年は、何だか「禁書」を読んでいるような背徳感があって、好感度大。
それにしても、この味わいを何と表現すればいいのでしょう?
かすれた印刷、安っぽい色使いが、一種「チープな華やかさ」を醸し出しており、まるで駄菓子屋の店先のようです。モノがセロハンだけに、いっそうお菓子めいたエフェメラ感があって、そこに懐かしい魅力があります。
日食の説明図。
「日食の恐怖」。
天文の話題が、にわかに歴史的場面に転換し、かつオリエンタリズムが混入するあたりに、フランスの国柄と時代性を感じます。
「地球照」。地球からの照り返しによって、月の黒い影の部分が、ボンヤリ明るく見える現象です。これまたオリエンタリズムが濃厚な絵柄。
月の満ち欠け。上は満月、下は新月。
藤城清治の影絵芝居めいた、素朴でお伽チックな絵が良い感じ。
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