結晶海に漕ぎ出す(3)…結晶の秩序とエントロピー
2014-08-07


昔、ブルーバックスってあったじゃない。

唐突だな。うん、講談社のブルーバックス、あれなら今でもあるぜ。

最近はすっかりご無沙汰だけど、昔の理科少年はああいうのを読んで、最先端の科学知識を仕入れてたよね。で、口角泡を飛ばしたり。きっと、今なら中二病認定間違いなしだね。 …で、ふと思ったんだけど、結晶って規則正しく分子・原子が並んでるんだよね。つまり、そこに秩序があるわけだ。かつてのブルーバックス少年として言わせてもらうと、そのこととエントロピーの関係ってどうなんだろう?

というと?

ブルーバックス少年的理解によれば、こういうことさ。
「エントロピーは乱雑さの程度を示す尺度であり、秩序と対立する概念である。
宇宙は絶えずエントロピー増大の方向に向かっており、これを熱力学第二法則という。万物はすべて時間と共に秩序を失い、乱雑な状態に近づいていく運命にあるが、生命は外部からエネルギーを取り入れることによって、エントロピーを局所的に低下させ、辛うじて自己を維持している」とか何とか。

ああ、確かそうだったね。

禺画像]
(雪片と神経細胞)

するとさ、結晶はそこに秩序があるんだから、エントロピーが低いわけだ。でも、何だかおかしくないかい? 結晶も生物みたいに、せっせとエネルギーを取り入れて、がんばって自己を維持してるのかな?そんなことないよね。

いかにもブルーバックス少年的疑問だな。

自分でもそう思うけど…

まあ、ゆっくり考えてみようや。
…うん、どうも「秩序」って言葉が怪しいようだ。俺も昔の記憶しかないけど、エントロピーの話題のときに、砂糖水の例が出てたと思う。

ああ、あったね。

禺画像]

コップに砂糖をひと匙入れて放っておく。すると時間の経過とともに水の分子と砂糖の分子が自然にまじりあって、均一な砂糖水になる…それがエントロピー増大の例だってわけだ。でもさ、砂糖と水が「中途半端に混じり合った状態」と、「均一に混じり合った状態」だったら、人間はどちらにより「秩序」を感じるかな。思うに、「均一」って言葉自体、秩序をイメージさせないか?

なるほど、きちんと定義された物理学用語を、日常用語で説明しようとすると、誤解も起きがちだよね。

禺画像]

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