豊郷小学校に見る、昭和の理科教育空間(9)
2012-06-03


以前書いたように、天文教具の類は、他校のモノと併せて、別項で取り上げようと思うので、ここでは屋外に設置された、豊郷小の天文・気象・地学系の施設を見てみます。

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今、改めて『手引』を読んでみて、当時の天文の学習が、非常にアンビバレントなものだったことに気付きました。先生は相当苦労を感じていたようです。
なんとなれば、当時はまさに「宇宙ブーム」の真っ只中でしたから、子どもたちの(そして先生たちの)宇宙への関心は高く、教育者としてそれに応えたい思いが当然あったわけですが、小学校のカリキュラムは、それとはかけ離れていたからです。

『手引』の記述(以下、pp.96-97より引用)から引くと

天体学習の意義をまとめると
・太陽、月、星の運行のそぼくな観察にはじまり、天体の秩序ある動きに
 気づかせ、しだいに時間、空間の概念を拡充していく。
ことにあるといえよう。

したがって、

天体に関する学習は、このような時間、空間の意識の発達に沿って漸進的に指導することがたいせつであり、ひとっとびに、「月や火星に生物が住んでいるか」などを考えさせるのは、子どもの興味は高いが天体学習の本質的なねらいではない。

と言わざるを得ません。しかし、

子どもの知的な角度から見ると、天体ほど神秘的なものはなく、疑問調査などをすると、この傾向が特に強くあらわれる。このように子どもの天体についての知的な要求が高いにもかかわらず、現実に学習をしようとするとき、子どもの能力にあった実証的手段が少なく、扱いにくい教材とされている。

要するに、ニーズと現実との間に、大きなギャップがあったわけです。
マスコミからの情報で耳年増になった子どもたちの声にどう応えるか。先生たちの熱い努力は、後ほど「天文教具・屋内編」で、たっぷり見るつもりですが、本項で取り上げる屋外施設は、どちらかというと「そぼくな観察」のためのものが主です。(だから、あまり人気はなかったんじゃないかなあ…とひそかに想像します。)

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グランドの隅に設置された「日の出の観測板」。

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遠くの山並みと、季節ごとの日の出の位置が図示され、その季節変化を体感するためのものです。6年生用。(とはいえ、実際に日の出を観測するために、早朝登校をする習慣があったとも思えず、これは「観測板」というよりは、単なる「説明板」ではないでしょうか。)

さらに太陽の運行を細かく知るために、「日時計」というツールも、しばしば導入されました。これは今でも各地の学校にあるでしょう。
豊郷小の場合は、豪華に、水平日時計、垂直日時計、こま型日時計という3種の日時計をならべて設置していました。

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水平日時計は、水平な円盤の中央に三角板を立てたタイプで、日本ではいちばんポピュラーなもの。垂直日時計

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